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匠の技

姫路城の素屋根作り

昭和25年春、姫路城第二期修理が 始まりました。この時最初のハードルとなったのが大天守の素屋根でした。素屋根とは工事用の足場の事で、解体から修復までの全工程、本体をすっぽり包み込む必要があります。

姫路城大天守の素屋根は、下部の平 面積 2,640㎡・ 棟の高さ52.8mと、東京の丸ビルがすっぽりおさまる規模。

上部はかなりの強風にさらされ、台風の直撃の可能性もあります。そのため形状・強度ともに設計はかなり難解なものとなりました。

四方転びという、四方が同じ傾斜面となる型の素屋根は、建築学の教授も 技術職員も未経験のもので、この素屋根の模型を作ったのは模型の専門業者でしたが、設計図が十分でなかった為、半年かけて出来た模型も不十分でした。

そのため再度依頼され和田貞一(当時26歳)が20分の1の縮尺で、4m四方の板に墨書きの設計図を完成し、模型は1万本を超える料理箸のような軸木で組み立て、図面を含めて約1ヶ月で完成させました。

この後、岡山県備中松山城(高梁市)、閑谷学校などの改修工事に携わるなど、赤穂~岡山の社寺工事を主に行っています。